脳動脈瘤

脳動脈瘤とは、頭の中の動脈の壁にできたこぶ(瘤)のことをいいます。脳動脈瘤の成因に関してはいまだ解明はされていません。現在は年齢に伴う動脈硬化、高血圧に伴う血流動態や遺伝などが関与しているのではないかと考えられ、研究されています。脳動脈瘤本体は無症状であることがほとんどですが、約 4%に脳神経などを圧迫して症状を呈するものがあります。
脳動脈瘤で最も問題なのは破裂をするとくも膜下出血をきたしてしまうことです。通常動脈は 3 層の膜で構成されていますが、動脈瘤の壁は 2 層で構成されているため、大きくなると破れて、くも膜下出血を引き起こす可能性があります。実際、くも膜下出血の原因の約 70-80%は脳動脈瘤と報告されています。そして、くも膜下出血の致死率は約 30%で、死亡を免れても約半数には何らかの後遺症をきたすと報告されています。

脳動脈閉塞

脳動脈閉塞は様々な原因により閉塞します。代表的なものは、動脈硬化症と塞栓症です。
動脈硬化は、加齢に伴い血管壁が厚くなることで血管内腔が狭くなり、やがて閉塞します。
塞栓症は、血液の塊が飛散してきて脳動脈に詰まることで閉塞します。閉塞する原因としては、動脈解離、もやもや病、血管炎など様々な疾患によって閉塞することが分かっています。
当院では動脈硬化やもやもや病による脳動脈閉塞に対して、血管吻合術を行い、脳血流を保持し脳梗塞を予防とする治療を行っています

頚部内頸動脈狭窄

動脈硬化により狭くなったり閉塞してしまうのは、頭蓋内の血管だけではなく頚部の動脈も狭くなったり閉塞してしまいます。閉塞しきる前であれば、動脈硬化成分を除去することで脳への血流を保持することが出来ます。

脳腫瘍

脳腫瘍とは頭蓋骨の内側に生じる腫瘍です。脳及びその周辺組織(神経、硬膜、下垂体)が異常増殖した脳からの腫瘍と、肺・胃腸・乳房などの全身から転移してきた転移性腫瘍とに分けられます。
脳腫瘍は身体に発生した癌とは異なります。良性腫瘍の小さいものであれば、手術・化学・放射線治療が必ずしも必要ではありませんが、大きくなり周囲の脳や神経を圧迫することで症状をきたし、時に致命的になることがあります。その場合は手術加療が必要となります。当院では、経過、症状と画像診断から適切な治療を提案しています。

顔面けいれん、三叉神経痛

顔面けいれんは、眼の周囲や口元のけいれんが顔の半分で本人の意思とは関係なく起こる病気です。
発症初期は緊張時に起こるだけですが、徐々にけいれんしている時間が長くなります。進行するとけいれんによって目が開けられなくなったり、けいれんから麻痺症状に移行して生活に支障を来すことがあります。原因は脳深部での血管による顔面神経の圧迫です。治療方法は、薬物療法と手術療法があります。薬物は抗てんかん薬による経過観察とボツリヌス毒素を局所に注射することで神経を麻痺させてけいれんを抑える方法です。薬物による副作用や投与量の増量など、薬物療法に抵抗があるときや根本的な治療を希望される場合は手術加療で圧迫している血管を神経から外す手術治療を行います。当院では、御本人とよく相談した上で適切な治療を提案していきます。
三叉神経痛も似たような病態で、深部の血管が三叉神経を圧迫することで、片側の顔面の痛みを起こす病気です。同様に抗てんかん薬での加療も可能ですが、薬物療法に抵抗性があるときは手術加療を行います。

血管内治療について

脳血管内治療(カテーテル治療)は、腕や足の付け根に痛み止め(局所麻酔)をして、カテーテルを通して、脳血管の病気を治療する方法です。他の臓器では心筋梗塞や足の動脈閉塞症などに行われている一般的な治療になります。
開頭手術に比べて傷が残らず、身体への負担が軽減されるため、高齢者や体力のない方にも行うことが出来ます。同じ病気であっても、開頭手術と脳血管内治療のどちらがより安全かは個人によっても異なるため、御本人としっかりと協議した上で治療を提案していきます。
当院では脳血管内治療が出来ないため、連携施設である東京医科歯科大学血管内治療科や、佐々総合病院、新座志木中央病院へ紹介致します。
当院の毎週土曜日の外来担当医師は東京医科歯科大学血管内治療科の佐川医師です。受診希望される場合は御相談ください。